ボトックス注射(歯ぎしり・食いしばり)治療

ボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療とは?

ボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療は、歯科分野でも利用されています。この治療に使用される「ボトックス」とは、ボツリヌストキシンから抽出される特定の成分(タンパク質の一種)で、抽出後には毒性が取り除かれています。

この成分は、一般的にはシワの除去として知られていますが、それ以外にも筋肉の緊張を和らげる効果があります。歯科では、この効果を利用して歯ぎしりや食いしばりの治療に活用されています。次に、その具体的な効果について詳しく説明します。

自分の歯を移植するメリット

自家歯牙移植はインプラント治療ほど大がかりな手術を必要とせず、また自分の歯を使用するので拒絶反応などのリスクも少なく済みます。インプラント治療のような年齢制限もありません。

 

また、歯とともに歯根膜も同時に移植することができることもメリットです。歯根膜とは歯と骨を繋いでいる繊維性の組織のことで、噛みごたえを感じたり、噛んだ際に歯に伝わる力を調整したりする働きをします。自家歯牙移植ではこの歯根膜も一緒に移植するため、天然の歯と変わらない自然な噛み心地があり、移植した歯を長期間使い続けることができます。

自家歯牙移植のデメリット

歯牙移植は、移植する歯がむし歯や歯周病のない健康な歯であることが条件です。また、移植する歯の大きさが抜歯した部分に納まる大きさでなければ移植は難しくなります。移植後は歯根膜が上手く付着せずに歯が脱落したり、何年か後に根が吸収されてむし歯になったりするリスクもあります。こうしたリスクについては治療前に充分に説明いたしますので、ご理解いただいた上で治療にのぞまれることをおすすめします。

歯牙移植とインプラント治療、入れ歯、ブリッジの違い

失った歯を補充する方法として、歯牙移植のほかに次のような方法があります。

一覧にまとめましたので参考にしてください。

各治療法 治療方法
歯牙移植 自分の歯と歯根膜を一緒に移植する方法です。違和感や拒絶反応が少なく、安定した噛み心地があります。単独で機能するので、他の歯に負担がかからず、口腔内全体の健康を維持できます。
インプラント治療 顎骨の中に人工歯根を埋入してかみ合わせを回復する方法です。自然の歯に近い噛み心地がありますが、大がかりな手術が必要です。単独で機能するので、他の歯に負担がかからず口腔内全体の健康を維持できます。
入れ歯 取り外し式の補綴物です。金具で固定させるため、長期間使い続けると金具をかけている歯にダメージを与える恐れがあります。
ブリッジ 抜歯した両隣りの歯を柱にし、橋をかけるように被せ物の人工歯を固定する方法です。健康な歯を削らなければならず、残っている歯に負担がかかります。

歯牙移植の治療の流れ

Step1歯のクリーニング

細菌感染リスクを抑えて成功率を高めるために、口腔内細菌の量を減少させお口の環境を整えます。

Step2移植手術

局所麻酔をかけて、悪い歯と移植する歯を同時に抜歯してすぐに移植し、縫合することで移植歯を固定させます。処置時間は1時間程度です。

※静脈内鎮静法にも対応しております。痛みに不安な方はご相談ください。

Step3消毒

翌日、患部の消毒および感染の有無を確認します。

Step4抜糸

約1週間後に抜糸します。

Step5被せ物の装着

被せ物を作製して装着します。

※場合によって根の治療を行い、薬を詰めてから被せ物を装着します。

自家歯牙移植のタイミング

歯ぎしりや食いしばりの悩みはありませんか?

現代社会では、無意識のうちに歯を食いしばったり、睡眠中に歯ぎしりをすることで悩む人が増えています。これらの習慣は、朝目覚めた際に顎の疲労感を感じさせたり、パートナーからの指摘がきっかけで気づくこともあります。さらに、歯ぎしりや食いしばりは、歯のヒビや破損の原因となり、重大な歯科疾患につながることも少なくありません。


歯ぎしりや食いしばりは、ただの癖にとどまらず、歯と全身の健康に影響を与えるため、早期の対策が求められます。このページでは、その原因となる要因、それによる健康への影響、そしてボトックスによる歯ぎしり・食いしばり治療オプションについて、詳しくご説明します。

歯ぎしり・食いしばりの原因と対策

・過蓋咬合による影響
過蓋咬合は、上の歯が下の歯を覆うほど深く噛み合わせる状態を指し、これにより不正な歯列が引き起こされることがあります。この深い噛み合わせから、特に奥歯を使って強く噛みしめる癖が生まれ、噛み合わせのバランスが崩れると、無意識に歯を削るような動作(歯ぎしり)が発生することがあります。治療としては、咬合調整や歯列矯正を行いつつ、ボトックスによる筋肉の緊張緩和が効果的です。


・奥歯を使用する習慣の問題
現代の食生活において、柔らかい食べ物を主に使用することが多く、これが原因で前歯ではなく奥歯を使う習慣が身につきます。奥歯を主に使うことで筋肉に過剰な緊張が生じ、脳がこの状態を記憶してしまい、睡眠中にも無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりが発生することがあります。特に咬筋が発達してエラが張る感じがある方が、この傾向にあります。この状態の改善には、ボトックスを用いて筋肉の緊張を和らげつつ、噛み合わせの調整や必要に応じてマウスピースを使用することが推奨されます。

ストレスが引き起こす歯ぎしりと食いしばりの増加

現代社会におけるストレスは多岐にわたります。人間関係の複雑さや、新型コロナウイルスによる社会的隔離が引き起こすストレスは、人々の歯ぎしりや食いしばりの増加に一役買っています。また、デジタルデバイスの普及がもたらす長時間の下向き姿勢は、上下の歯が接触する時間を無意識に増加させ、これもまた歯ぎしりや食いしばりの一因となっています。

 

このような状況に対処するため、ボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療は有効な選択肢の一つです。定期的に、例えば半年ごとにボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療を受けることで、歯ぎしりや食いしばりによる不快感を軽減し、長期的な口腔健康の向上が期待できます。

歯ぎしり・食いしばりの自己診断ガイド

  • 日中に歯が密着していることに自己認識があるか?
  • 朝、顎の疲れを感じるか、またはよく眠れていないと感じるか?
  • 他人から歯ぎしりや食いしばりを指摘された経験はあるか?
  • 頻繁に首や肩のこりを感じるか?
  • 顔の形が変わり、エラが目立つようになったと感じるか?
  • 頬の筋肉に張りや痛みがあるか?
  • 食後や冷たいものを食べた時に歯が敏感になることがあるか?
  • 歯の詰め物が頻繁に取れるか?
  • 歯の摩耗が進み、噛む際に不便を感じる部分があるか?
  • 口の中を傷つけたり、口内炎ができたりした経験はあるか?

ボトックスはその筋肉をリラックスさせる特性から、多くの歯科治療で効果を発揮します。具体的には以下のような改善が期待できます。


・歯ぎしりや食いしばりによる不快感の軽減
・顎関節症の症状緩和
・ガミースマイル(歯茎が目立つ笑顔)の修正
・咬筋の過発達による顔の形状の変化の管理
・頭痛や肩こりなど、咬み締めに関連する痛みの軽減
・歯周病の進行予防、特に歯ぎしりが原因の場合
・口元の細かいシワの目立たなくなる効果

 

上記のチェックリストに一つでも当てはまる場合は、歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。問題がなければ安心ですが、もし該当する項目があれば、早期の専門的な診断と対応が推奨されます。

自家歯牙移植とインプラントの違い

ドナーの有無 インプラント⇒不要
自家歯牙移植⇒必須
外科処置の箇所、回数 インプラント⇒1箇所~複数箇所、1~3回
自家歯牙移植⇒2箇所、1回
骨質 インプラント⇒影響が多い
自家歯牙移植⇒影響が少ない
防御機構の有無 インプラント⇒なし
自家歯牙移植⇒あり
治療後の矯正治療の可否 インプラント⇒できない
自家歯牙移植⇒できる
高齢の患者さまへの対応 インプラント⇒可能
自家歯牙移植⇒可能
若年の患者さまへの対応 インプラント⇒不向き
自家歯牙移植⇒適応可能
治療期間 インプラント⇒3ヶ月~1年ほど
自家歯牙移植⇒2~3ヶ月

歯科におけるボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療がもたらす多様な効果

ボトックスはその筋肉をリラックスさせる特性から、多くの歯科治療で効果を発揮します。具体的には以下のような改善が期待できます。


・歯ぎしりや食いしばりによる不快感の軽減
・顎関節症の症状緩和
・ガミースマイル(歯茎が目立つ笑顔)の修正
・咬筋の過発達による顔の形状の変化の管理
・頭痛や肩こりなど、咬み締めに関連する痛みの軽減
・歯周病の進行予防、特に歯ぎしりが原因の場合
・口元の細かいシワの目立たなくなる効果


当クリニックでは、特に歯ぎしりや食いしばりに悩む患者様からの相談が多く寄せられます。これらの問題は、放置すると歯周病を悪化させるリスクがあります。ボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療は、これらの症状を効果的に管理し、お口の健康を維持するための有効な選択肢です。

ボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療の持続性と効果

ボトックスの歯ぎしり・食いしばり治療効果は個人差があり、通常は約3から6ヶ月持続します。ボトックスは一度の治療で永続的な効果が得られるわけではなく、効果が薄れてくるにつれて、定期的な再注射が推奨されます。

認知行動療法とボトックスの組み合わせ

当院では、ボトックス注射と認知行動療法を組み合わせた治療を提供しています。以前は認知行動療法だけを用いて行動を改善するアプローチが主流でしたが、効果に個人差が大きいため、当院ではボトックスを併用し、物理的に歯ぎしりや食いしばりを抑制しつつ、認知行動療法を通じて行動パターンを改善する方法を採用しています。

このアプローチにより、歯ぎしりや食いしばりといったストレス関連の悪習慣を根本から改善することを目指しています。

Step1検査とカウンセリング

まずは、歯の移植ができるのかも含め、口腔内の検査とお写真の撮影を行っていきます。 具体的には、歯周病の検査、レントゲン撮影、CT撮影などを行い、それらの検査結果をもとに、30分程度のカウンセリングを実施します。

カウンセリングでは、患者さまからのご質問やご相談も承りますので、ご不明点やご不安な点がございましたら、何でもお気軽にお伝えください。 ※移植する歯の向きによっては、抜歯をスムーズに行うため、事前に部分矯正をする場合もあります。

ボトックス(歯ぎしり・食いしばり)治療に関するよくある質問

・痛みについて
ボトックスの注射は一般的な注射と同様、針を刺す際の軽い痛みが伴います。注射後には少し重たい感じがすることがありますが、これは正常な反応です。


・ダウンタイムについて
治療後のダウンタイムは特にありません。施術後すぐに日常生活に戻ることが可能です。


・アルコールの摂取について
治療当日及び翌日はアルコールの摂取を避けてください。

 

・通院について
ボトックス注射後、1週間後には経過観察のために一度来院していただくことをお勧めします。その後は特に問題がなければ通院の必要はありませんが、ボトックスの効果が減少したと感じた場合は、再度の治療をご検討ください。