マイクロスコープを使う治療のメリット
むし歯がひどくなると、根管内(歯髄と呼ばれる神経や血管が通っている細い管)に細菌が侵入して神経にダメージを与えます。病気が進行すると神経は壊死し、根の先に病変を作ります。最悪な場合は抜歯をしなければなりません。そうした悪化した歯を残す最後の砦ともいわれる治療が根管治療です。
当院では、治療の精度を高めるためにマイクロスコープを使った根管治療を行っております。マイクロスコープを使うことで再発率の少ない精密治療が可能になり、他院では抜歯しか方法がないと言われた方でも、歯を残せる可能性が高まります。
1.治療の成功率が飛躍的に高まる
患部を3倍~20倍まで拡大できるので、肉眼では見えない複雑な根の先をはっきり捉えることができます。根管の中の細かい汚れまで視認できるため、根管内の汚れや細菌を確実に除去し、消毒を行うことで再発リスクを大幅に減らすことができます。
2.短期治療が可能になる
「根管治療は時間がかかる」といわれていますが、それには理由があります。一般的な保険診療では、弾性の無い器具で歯髄をとる作業を何度も行う必要があるため、一回当たりの治療時間は短いものの、通院回数は多くなります。そうすると治療期間が長引いて、細菌感染のリスクが高まり、成功率も下がります。
マイクロスコープを使った根管治療では、所要時間は長くかかりますが、より精密な治療ができ、壊死した神経や汚れを確実に除去して根管内を隅々まで消毒・殺菌できます。これにより治療期間が大幅に短縮されるので、通常は3回程度の通院で終わります。
当院の根管治療の特徴
1経験豊富な専門ドクターによる治療
歯の根っこは複雑に分かれているため、根管治療の成功率はドクターの経験や技術力に大きく左右されます。当院では、大学病院出身の専門ドクターと連携して根管治療にあたっております。
豊富な経験と優れた診断力・技術力を持つ専門ドクターとの連携で、難しい症例であっても確実な治療と短期間での完治が期待できます。
2CTによる診断
当院はCT撮影による診断も行っております。レントゲン診断だけでは小さな病変を見落としてしまうことがありますが、CTで撮影することにより病変をはっきり捉えられるので、どんなに小さな病変も見逃すことがありません。診断の精度も高まるので、治療可能かどうかも確実に判断することができます。
3ラバーダムの使用
根管治療の大敵は細菌です。唾液中の細菌が治療時の根管内に侵入すると、根の病気の再発率が高くなってしまいます。そこで活躍するのが、「ラバーダム」と呼ばれるゴム製の薄いシートです。
根管治療の成功率は一般的に50%以下といわれていますが、ラバーダムを使用することでそれが90%まで高まるともいわれています。そのため欧米諸国ではラバーダムの装着は必須となっています。一方、日本での浸透率は低く、100医院に対して1医院程度と極めて少ない状況です。当院では根管治療の際、ラバーダムを使用して患歯のみを露出させることで、唾液などの侵入を防ぎ、根管治療の成功率を高めています。
4超音波機器を使用し、隅々まで洗浄
根管内の形は非常に複雑で、器械を使っても全てを取り除くことはできません。そこで重要なのは、薬液による洗浄です。この薬液もただ根管内に入れるだけでなく、超音波を当てて振動させることにより、薬液が隅々まで行き渡り洗浄効果を上げることができます。
5ニッケルチタン製のファイルを使用
根管治療には、「ファイル」という細いドリル状の器具を使用します。根管の形はとても複雑になっているため、当院では弾性のあるニッケルチタン製のファイルを使用しています。ニッケルチタン製ファイルの使用は自費診療となりますが、保険診療で使用する弾性のないステンレス製ファイルよりも効率的に治療を行うことができます。
6MTAセメントで穴をふさぎ、歯を温存
今までは、根管内に穴が空いてしまっていたら抜歯となっていましたが、この特殊なセメントで穴を封鎖することが可能になり、抜歯基準が大きく変わりました。
根管治療の流れ
Step1むし歯を削る
むし歯になっている部分を削り取ります。
Step2神経(歯髄)を取り除く
ファイルと呼ばれる器具を使い、根管内の神経をていねいに取り除きます。
Step3根管部を洗浄する
根管内に残っている汚れや細菌を完全に消毒・殺菌します。消毒が不十分だと再発リスクが高まるため、非常に重要な処置となります。マイクロスコープを使用することで、根管内を確実に殺菌・消毒することができます。
Step4薬を詰めて蓋をする
殺菌・消毒された根管内が再感染を起こさないよう薬剤を密に充填させます。
Step5土台・被せ物を装着する
被せ物を装着して、治療は終了です。
歯の形を回復させるために、芯となる土台と被せ物を装着します。